入部したときから、ずっとあの人の怒鳴り声と付き合ってきた。
もう大分慣れたけど、先生が怒鳴る度、何だか私も怒鳴られているような気分になった。
私は、いつからか自然と先生を目で追いながら、練習するようになっていた。
それは、いきなり怒鳴られるのが怖かったから。
そうやって心の準備をしておかないと、心臓がいくつあっても足りない。
びくびくしながら練習してた。
視力が人一倍いい私は、
先生の服装、
先生の髪型、
先生がボールを蹴る姿……。
何でも見えた。
そんなことを2年以上も続けてきたのだから、部活の時の先生のことなら何でも分かるくらいになった。
でも、きっと先生は私のことを知らない。
先生は、私が1・2年生の頃、ずっと3年生の担任をしていた。
その頃の卒業生から、とにかくすごく慕われている。
男女を問わず、高校から毎日のように先生に会いに来る。
別にサッカー部だったわけでもないだろうし、担任だったってわけでもないだろうに……。
ただ、3年のときの先生ってだけでしょ?
あんなに怖いのにどうして?
とにかく城島先生とだけは、絶対に関わりたくないって思ってた。