平和な昼下がり。


五時間目の授業は、一時間目から待ち遠しくしていた先生の授業だった。


先生に気付かれないように、チラチラと先生を見る。

その度にドキドキときめく胸。

顔だって、もちろんニヤけっぱなし。



そんな私の淡い恋心は、先生の言葉で一瞬にして砕かれた。



「この前さぁ、俺のかみさんが映画観に行きたいっつーから観に行ってきたんだけど、あれやばいな!マジ泣ける!観た人ぉ~?」



目の前が真っ暗になった。



俺の……かみさん?



今、かみさんって言ったの?


かみさんって、奥さんのこと?




ねぇ、先生。


嘘でしょ?