わがままを言って、先生の授業に出たけれど、授業には集中できなかった。
ぼ~っとした頭に浮かんでくるのは、先生だけ。
先生は授業をしながら私を気にしてくれて、私の方を何度もチラチラと見てくれた。
みんなの問題の解き具合を回って見ながら、私の方に来てくれたりもした。
その時に、さり気なく自分の手を私のおでこにあててくれた先生。
みんな問題を解くのに必死で、誰も気づかない。
そういうとこも、大好き。
昼休みは先生に連れられて、美術準備室へ行った。
先生は、ドアを閉めると同時に私を抱きしめた。
「大丈夫か?俺、心配で授業集中できねぇよ…。」
あんなに完璧な授業をしていながら、そんなことを言ってくれた先生。
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴るまで、私たちはずっと抱き合っていた。