「よかったな、桜の母ちゃん。桜のために、すげー頑張ってたもんな…。」


思い出す。

お母さんが倒れた夜、先生が病院まで来てくれたこと。


本当に嬉しかったんだよ。



「ほら、着いた!」


先生は、雰囲気のいいイタリアンのお店に連れてきてくれた。


『前に、シャレたとこ連れてってやるって言っただろ?』って…。


何年前の約束?

どうしてそんなこと覚えてるの?



先生と私は、パスタのセットを2つ注文した。

メニューの文字を指差して注文する先生が、すっごくかっこよかった。