エンジンをかけると、流れたのはやっぱりあの桜ソング。
涙出ちゃうよ…。
「せんせぇ~……」
「泣き虫桜!ホント変わんねーなぁ。」
先生は笑いながら、私の涙をぬぐった。
触れられた頬が…熱い。
ちょっと話して、先生はまたこの学校に戻ってきたことを知った。
今日は、たまたま職員室に忘れ物を取りに来たんだって。
すごいよ…私たち。
「で、桜は何であそこにいたんだ?懐かしくなって来ちゃった?」
窓を少し開けて、車を走らせる先生。
頬杖をして、片手でハンドルをきる。
やっぱり、かっこいいな…。
「明日から、教育実習生なの!」
先生は驚いた顔で、私を見た。
「は!?うっそ!!マジで?俺らは前々から言われてるけど、桜の名前は聞かなかったぜ?」
「名字、変わったからじゃないかな?」
先生は私のその言葉に黙りこくって、チラッと私を見た。