家に戻ろうと、私の頭の上に咲き乱れる桜を見ながら、再び校門へ向かう。
思い出す。
先生が抱きしめて、おでこにキスしてくれた卒業式。
一緒に聞いた桜ソング。
ちょっぴり切なくなりながら歩いた。
すると、1台の車が職員駐車場に入ってきた。
先生と同じ車。
すぐにそんなことを思ってしまう。
癖だから、しょうがないね。
もうあれから何年も経っているし、先生は車を変えてしまったかもしれない。
でも……
あれ?
私の頭に今も尚、しっかりと記憶されている、ナンバー。
車の中から微かに聞こえる、何度聞いたか分からないあの曲。
こんな偶然、ある?
歩くことを忘れ、その場に立ちすくむ。
大きな白い車を、ただ目で追う。