そして、私は夢に向かって1歩踏み出した。


教育実習生として、母校に戻ってきた。

実家にも久々に戻ってきた。


明日から、教育実習が始まる。

その前に懐かしさが溢れて、一足先に1人で母校へ向かった。


3年間通った通学路。

ちゃんと覚えてる。



学校が見えてくると、やっぱり見てしまうのは職員駐車場。

あるわけないのにね。



校門をくぐる。

私がいじめで悩んでたとき、先生がここに立って、私を迎えてくれたね。

あいさつ運動なんて言いながら、本当は私のことを心配して、立っていた先生。



何も変わってない。


先生の車を探した職員駐車場も、

先生の怒鳴り声をよく聞いた運動場も、

先生と見た桜の木も…。


あの頃に戻ったみたい。


校舎の中も変わっていなかった。

でも、先生のクラスだった教室は、美術準備室になっていた。

教室の中も、窓から見える景色も、何も変わっていないのに…。

やっぱり寂しいな…。


あそこに先生が座ってて、忘れっぽい生徒が出し遅れた課題なんか見てて。

私は『先生~!』って飛びついて行って。

『お~!桜!』って先生は笑顔で迎えてくれたね。


こんなにはっきり覚えてるよ。

先生は覚えてる?



先生と出会ったこの学校で、私は教師への第1歩を力強く踏み出すんだ。

先生とのたくさんの思い出たちと一緒に。