「パパ!お祭り行こうよ~!」


やっぱりせがまれたか…。


「おし、じゃあ行くか!」


正直、行きたくなかった。


何でかって?

そりゃあ、桜に会うだろうから。


俺に3人目の子供が出来たときさえ大泣きしたあいつが、俺の嫁と子供を見たらどうなる?

頼むから、会わないでくれ…。



車を走らせている間も、何度も桜が頭によぎった。


車内にかかっている曲は、随分前に流行った曲。

あいつと聴いた…桜ソング。



祭りに行くと、たくさんの生徒たちが俺に声を掛けて来た。

本当に可愛い俺の生徒たち。


でも、その中に桜はいなかった。

安心してんだか、残念がってんだか、自分でも分からない。


何だかんだ、俺が1番会いたかったのかも…。



でも、これでいいんだ。

今は、会うときじゃない。


また必ず、どこかで会える。



いつまでも、お前は俺の“1番の生徒”だから…。