俺も会いたいよ。
そんな風に駆け寄って来る生徒なんか、ここには1人もいない。
知り合いが誰も居ない環境で、俺だって心細い。
可愛い生徒に会いたくなるよ。
特に桜にはさ…。
校舎で、いないはずの桜をつい探しちまうんだ。
でも、あいつが今もあのままとは限らない。
もしそうじゃなくても、俺から『連れて来い』なんて言えない。
別れのメールも送られてきたわけだし…。
変な期待を持たせても、傷つけるだけだ。
「いや、また機会あるだろうからさ…。頑張れよってだけ、伝えといて!」
俺がそう言うと、その女子生徒は笑顔で去っていった。
俺はその後ろ姿を目で追い、しばらく見ていた。