お別れメールを送ったあの日から、何ヶ月か経ったある日。


まだ、先生への想いは残っていた。

車を目で追いかけてしまう癖も、まだ直っていない。


でも、もう誰にも言わなかった。

胸の痛みに気付かないフリをして、過去にしたつもりだった。


でも、私は毎日ルーズソックスで学校に通っている。

周りはみんな紺のハイソックスだけど、私は先生のために買ったルーズソックス。


叶わない夢を夢見て。



「学校に遊びに行きたいんだけど、ついてきてくれない?」



ある日、同じクラスの芽衣が言った。

私もくるみもとっても仲良しだった。


芽衣の言う“学校”とは、芽衣の中学時代の母校。

先生が離任した中学校。


「私はいいけど…。どうするの、桜。」

「私は……いい。ごめんね、芽衣。」


先生に会えるチャンスだった。

それを自ら逃した。