先生と同じ車を見ると、自然に目で追って、ナンバーを確認してしまう。
それはもう私の癖。
忘れようと努力はした。
でも、日常の日々はそんな私に罠ばかりしかけて、忘れさせてくれない。
登下校の道で、何度先生と同じ車とすれ違っただろう。
無意識に振り返り、ナンバープレートを見てしまう。
先生と同じ車なんてなくなってしまえばいいのに、と思った。
桜を見ると、先生を思い出す。
星空を見ると、先生を思い出す。
赤ペンを見ると、先生を思い出す。
保健室を見ると、先生を思い出す。
私の思考回路は、何を見ても最終的に先生に繋がった。
苦しくて、苦しくて、いっぱい泣いた。
いっそのこと先生と出会ったことも、何もかもすべて忘れてしまいたいと思った。
それでも、やっぱり忘れることはできなかった。
1度だけ、先生にメールを送ったことがあったけど、やっぱり返って来なかった。
センターに何度も問い合わせる自分が切なくて、悲しかった。
メールを待っている間、いろんな不安が頭をよぎるんだ。
しつこかったかな、とか。
変なメール送っちゃったかな、とか。
着信がある度に期待は高まるけど、すぐにため息に変わる。
きっと先生は新しい環境で疲れてるんだ。
私よりずっと忙しいんだ。
なんて、何度も自分に言い聞かせた。