「……先生……」
「……ん?」
「私、ずっと先生のこと好きだったよ。大好きだったよ……」
「嬉しいよ。ありがとな……」
嬉しいって言葉が聞けただけで、
気持ちが伝えることが出来ただけで、
もう満足なんだ。
それなのに……。
「桜。何年経っても、お前が俺の1番の生徒だから。お前のこと絶対忘れないから。」
なんて言ってくれた先生。
先生は生徒に順位をつけるような先生じゃなかったのにね。
どの生徒にも平等に接する先生が、みんなに好かれているところだったのにね。
それだけ先生の『特別』になれたってことかな。
たくさん宝物のような言葉をもらった。
ずっと欲しかった言葉をもらえた。
もう十分だよ。
「これ、バレンタインのお返し。遅くなってごめんな?」
先生が白い紙袋を私に差し出した。
中にはチョコレートらしきものとCDが入っていた。
そのCDは夏に先生の車の中で聞いた、あの桜ソングだった。
「このCD、もう返せないよ……」
涙が止まらない。
「また……遊びに来ればいい……」
先生は、そっと私のおでこにキスをした。
またいつか会おうね。
私と先生が運命で結ばれているなら、いつかまた必ず会える。
そのときまで、元気でいてね。
さよなら………先生。