約束したわけじゃない。
けど比呂はあたしが出てくるタイミングに合わせて家の前に来る。
「お前さーさっきのひどいよなー」
「何がー?」
「俺が親切に電話してやったのに途中で切るし」
「あぁ…ごめんごめん!焦っちゃって」
「わかってたけどさー。千里朝弱いからなー」
比呂とは物心ついた頃から一緒にいた。
いわゆる幼なじみ。
「こーやって比呂が後ろに乗せてくれるから遅刻しないですむよ」
「そーだよー。始業式だから朝練もないし」
「ありがとー」
比呂はありがとうと言うとどう答えていいかわからないみたいで、耳を真っ赤にして黙ってしまう。
あたしはそれを見て微笑み心の中でもありがとうと言った。
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