「篤真の伝えに来たんだろ?」
「はい」
「聞いたよ、意識不明になったって」
ソファに座ってテーブルにココアを置くと、
私にも座りなさいとソファを叩いた。
そっと座ると、ココアを渡してくれた。
ゆっくりと、あったかいものを飲む。
ココアが篤真のお父さんの心の温度を
表しているみたいだった。
「どういう関係なの?」
「友だちです」
「友だちかー。
で、伝言ってなにかな?」
「今、私の隣に篤真がいます。
私の体を使って、伝えたいことがあるみたいなんです」
「そんな嘘、やめたらどうだ?」
「嘘じゃない。
本当は私だってしたくないんです、こんなこと」
「どういうこと?」
「お父さんに気持ちを伝えたら、
私から離れていってしまう…それが嫌なんです」
「…そっか。
なら、伝えてもらわなくてもいいよ」
「そんなことできません」
「なら、僕に見せてよ。
会わせてよ、篤真に」
その言葉と同時に、
私の意識は遠のいた。