それから、気づいたら寝ていて、
起きた頃には日が上っていた。


「はよ」


「うわっ!!」


だ、だれ、この男の人!


「忘れたわけ?」


あ、そうだった…。


幽霊だ。


「忘れてないよ、全然」


「そ」


「ねぇ」


「ん?」


「お父さんの手が掛かりとかないの?」


「…わからない」


「はい?」


「分かるのは、この辺に住んでいる。
ただそれだけなんだよ」


この辺に?


「名前は?」


「真治」


「真治さん」


「聞き覚えはあるか?」


「ない」


真治さんなんて、この辺では聞かない。


ここら辺は、比較的近所つき合いが盛ん。


だから知らないという事はないと思う。


本当に外に出ない人以外は。


「おばさん達に聞いてみる」