どうしてあの時、
凛子の家が分かったのかも。


どうしてあの時、
凛子のことを知らないと言ったのかも。


相手を知っていたから何だ。


「これ、篤真くん」


そう言って指差した写真には

楽しそうにハンドボールをしている篤真がいた。


「透也と同じクラスで、同じ部活だった。
それに、篤真くんの弟とも
あたしが同じ中学校だったから仲良かった」


「そうだったんだ…」


「だから、すぐに知ったの。
あの爆発事故に巻き込まれてしまったこと」


「…」


「篤真くんは戻ってこなかった。
お父さんがいない坂上家では、
篤真くんがいなくなるのは本当に悲しかった」


「…っ」


「だから今、弟は迷惑かけないために
1人暮らししてるの」


そんなことになってたんだ。


篤真は知ってるのかな?


「…黙っててごめんね」


「いいよ、もう」