「もう、俺から離れてくれていいよ」


やめて。


そんなこと言わないで。


「私は…篤真のお父さんを捜すよ」


「…」


「篤真がどんなにいやがっても、
一度聞いてしまったお願いだし、
人生の無駄なんておもったことは1回もない」


「…」


「篤真がいなきゃつまらないの」


毎日が当たり前のようにすぎていくの。


篤真がいるときは、
毎日がすごく充実していた。


「そんなこと…」


「ほんとだよ。
篤真、もういなくならないんじゃなかったの?」


「…っ」


「ねぇ、どうしていなくなったの?
どうしてまた、戻ってきてくれたの?」


「…」


答えてよ。


お願いだから、答えて。


「俺は、俺といるよりもあいつといた方が
幸せなんだろうと思ったから。
だけど、放っておけなかった」


「…」


「突き放した後に、泣いているゆあを見て
いつの間にか自分の体が動いてた」


「…っ」


「何度も考えた!
どうして幽霊なんだろう、とか。
もっと守れるやつならいいのに、とか。
どうして離れてしまったんだろう、とか」


「私は、篤真がいた方が幸せだよ」


そう言って笑うと、
眩しい笑顔を返してくれた。


安心できる。


そう、思えた。


だけど、そんな幸せな時間は短い。


すぐに訪問者がきた。