「早く、別れてください」


今、もしも篤真と何もなければ。


どうしてあなたに言われなくちゃいけないのって。


そう言えたはずなのに。


何も言えずにただ見つめてることしかできない。


「部長を縛り付けてるってわからないんですか?」


「縛り付けてる…?」


「そうですよ?
今まで部長は好きなように遊んできたんです。
女の人にも不自由せずに、
体を合わせたり、デートしたり」


「…」


「それなのに。
あなたが彼女になった途端、部長はキスすらも
してくれなくなりました。
だから、この前キスして誘ったんです」


私があの日に見たものなんだと思う。


「いい感じまで行ったんです。
なのに、約束があるからってやめちゃいました」


こんなの聞きたくない。


聞きたくないっ!


「土曜日の午後、繋がらなかったけど
お互いを感じ合うことはできたんで。
…あなたが距離をおいてくれたおかげです」


そう言ってにやりとした。