愁は、昔から勘が冴えてる。


こういう時にはひやっとする。


「今の人かっこいいな」


小さくうなずく。


愁は、とてもかっこいいわけじゃない。


篤真なんかには適わない。


だけど、サークルで焼けた肌、
笑うときに見える八重歯とか、
ちょくちょく女子が胸きゅんするようなモノを持っている。


それに、性格もいい。


優しいし、行動力もある。


だから、嫌う人なんていなかった。


みんなが愁を大好きになる。


「…ああいう人は中身もきちんと見てもらえる」


そんな、意味深な言葉を言って、
私の隣からふっと消えた。


…篤真?


どうしたのだろうか。


今の声、なぜか落ち込んでいた。


辺りを見渡しても、姿はない。


なにか、まずいことしたかな?


そんなもやもやを抱えながら、
私は、篤真父を探しに歩き出した。