「…………。」
真顔の……二人。
先に口火を切ったのは………
「仕様がない人ね。」
……一歩の方。
「遠回しな告白ではダメですよ?チョコが欲しいなら欲しいと素直にそう言えばいいのに……。」
一歩の発言に、皆の視線は一気に……ニシハルへと向けられる。
こくり。
ニシハルが一つ頷く。
「………って、チョコが欲しかっただけかよ。」
高津は色んな意味で……
ふうっと胸を撫で下ろし、
「びっくりした~」と、生徒達はざわつき始めた時……。
「…先程先生にはお渡ししませんでしたものね。………コレは子供達にだけだと言いましたが……、どうやら沢山余ったようなので差し上げます。」
一歩はそう言って、サンタ袋の中から……
透明の袋でラッピングされたチ〇ルチョコを取り出すと。
すたすたと教卓の前に行き、
ニシハルの掌の上に……
ちょこん、と置いた。
「丁度腹減ってたんだよ。ありがとう、三船。」
ニシハルはにっこり笑って。
リボンを外すと……
それをひとつ、手に取った。
……が、
「…先生、あと10秒で授業開始です。」
携帯電話をスピーカーにし、時報を流す……
一歩さん。
「…………。」
彼はチョコを袋に戻そうとして……
ハタ、と気づく。
(「このチ〇ルチョコ……、丸い…?」)
時報にピッタリ合わせて……
始業のベル。
ニシハルは授業中ちらっと一歩を見るけれど……。
終始彼女と目が合うことは…
なかった。