「お前らうかれ過ぎ~。早く席座れー。」
ニシハルが言っている側から……
「あ。まだ貰ってない方~!」
一歩はクラスメイトにそんなことを呼びかけ始めた。
「………。三船。今の聞いてた?」
ニシハル……、
真顔になっていますよ?
「まだ授業開始のベルはなっておりません。」
あらあら……。
こちらも臨戦体制?
「いーじゃん、ニシハルだって大量にチョコ貰ってたでしょ~?」
「それとこれとは別。」
「本命からは貰ったの?」
「ニシハルに女いないわけないべ!」」
「え~、いたらいたでやだぁ~。」
すっかりうかれポンチな2年5組のみなさん。
「……うるさい、お前ら。」
短気がつい表に出てしまったのか?
彼は……低い声で、言い放った。
「だって気になるじゃん、仁志センセーの本命。」
「…案外近くにいたり?」
「ああ、紺野センセーとか似合いそ~。」
みなさん、ちっともめげません。
一方の一歩は…。
『紺野』の名前に、チョコを渡すその手を…
ピタリと、止める。