「あ、慎哉くん来たよ!!」

あたしは教室のドアの方に

ゆっくり振り向いた。

「あ・・・・・」

顔がだんだんと赤くなっているのが

自分でもよく分かる・・・・。

心臓の動きが早くなり、

今にも優美に聞こえそうだった。


橋本慎哉(ハシモトシンヤ)。

―――そう、あたしが恋している人。

でも、あたしは

橋本の前ではどうしても素直になれない。

心の中に思っていることと

逆のことを言ってしまう・・・・。

強気になってしまう・・・・。

本当はすごく、すごく、

大好きなのに―――。


遠くに居ても、

必ず目に入ってしまう・・・・。