「借金、いくら残ってんの?」



そこで、また綾菜が黙ってしまった。



「綾菜?」


「…………払い、終わった」


「えっ?ホントに?」



綾菜は俺から目を逸らし、髪の毛を触り始めた。


嘘をついてる。


昔から綾菜は嘘をつくと、目を逸らして髪の毛を触るクセがある。



「お前のそのクセ、昔から変わってねぇな」



俺はそう言ってクスリと笑った。



「本当のことを話せよ」



綾菜は黙ったまま髪の毛を触り続ける。


また綾菜が話をしてくれるまで、俺はジッと待っていた。