人気のない、端っこの席。
そこに綾菜と向かい合わせに座り、アイスコーヒーを注文した。
綾菜は下を向いたまま。
話をしないか?と言ったものの、何から話していいのかわならたい状態で、お互い黙ったままだった。
しばらくしてアイスコーヒーが運ばれて来て、それにストローを挿してブラックのまま一口飲んだ。
綾菜はアイスコーヒーに手をつけようとしない。
「…………蒼太」
「ん?」
綾菜が下を向いたまま蒼太の名前を口に出した。
「蒼太、どうしたの?」
「見てもらってる」
「誰に?」
「お友達のお姉ちゃんに」
そのお姉ちゃんが俺の教え子とか、そこまで詳しく話さなかった。
「なぁ、綾菜?お前、男といるのか?」
「えっ?」
綾菜が顔を上げた。
疲れたような顔をした綾菜。
近くで見ると、少しやつれて元気がなく、寂しそうな目で俺を見ていた。