ちょっと悲しそうな顔をしている蒼太。
「蒼太?あっちに行ったら今井のおねーちゃんがいるかもしれないぞ?行ってみる?」
「うん!」
蒼太の顔がパッと明るくなった。
蒼太と手を繋ぎ、園舎の前に並ぶ模擬店に向かって歩いた。
模擬店の前には何組か椅子とテーブルもあって、近付くにつれてソースのいい匂いが漂ってくる。
今井は……。
模擬店の辺りや、その周辺を探してみるけど、まだ来てないみたいだな。
「今井のおねーちゃん、まだ来てないみたいだな」
「うん」
「何か食べるか?」
「たこ焼き!」
「よしっ!」
蒼太を連れて、たこ焼き屋の前に行く。
園児の保護者が焼いてるたこ焼き。
値段も祭りの夜店の相場の半額以下。
たこ焼きをひとつ買って、空いてるテーブルを探して、そこの椅子に座った。