胸がズキンと痛む。

「咲姫は、今、病院で入院してる。もともと体が弱い方だから入院せざるを得なかったんだ」


「うん」


「この前、好きなタイプ、高野瀬さん、聞いてきたじゃん」


「うん」



「あれ、咲姫をみたまんま言っただけなんだ。…俺の初恋は咲姫だった。」



胸が苦しくなる。
光くんの好きな子は、日和ちゃんじゃなかった。


「だから、俺は咲姫の病気を治したい。医者を目指すようになったキッカケは咲姫と親父。親父の患者さんに対する態度とか、見ててすげー憧れた。だから、俺は医者になりたい。」


「そう…なんだ」


瞳を輝かせて、話をする光くんをみていると、咲姫さんに対して醜い感情を抱く自分が許せなかった。


…だから作り笑顔で自分を追い詰める。


「もし…光くんを好きな子がいて、その子が光くんに告白したら…どうなる?」


「え…」


急に話題を変えたからか、戸惑う光くん。

でもすぐ苦笑いした。


「断る、かな。咲姫が大事だから…」


その言葉を聞いて、私はまた作り笑顔。


でもきっと心は、泣いてる。