「なんか、話そ」


戸部山くんはスポーツドリンクのキャップを閉めてベッドの角において私を見た。


話そって言われても…。

「高野瀬さんはさ、夢、ある?」


「え?あ…よくわからない。でも、今はモデルに興味あって。」


「モデルね。高野瀬さんは背、高いから似合うよ、モデル」


「あ、ありがとう」

少し、背のことを言われて悔しかったけど誉められたのは嬉しかった。


「戸部山くんは…?」


「あー…俺はね…あ、まず呼び方いい加減変えるか。じゃあ、君づけでもいいから名前で呼んで」


「えっ…」



「早くしろよ、希凛」


そう言われて、私の心臓は爆発寸前。


病み上がりのせいか、戸部山くんは口調がいつもと違う気がする。


そのせいでますますドキドキしてしまう私。


「こ…光くん」


「はい、おけ。俺はね、医者になりたいんだ」


「医者…?」


「ああ。幼なじみがいるんだけど。彼女は心臓に疾患抱えてて。疾患が見つかったのは1年前くらい。」


「女の子?」


「ああ。瀬藤咲姫。」


「せとう、さき…。」