「いらっしゃい。光なら、2階の部屋にいるから。上がって」


ドアが開くと優しく微笑む戸部山くんのお母さんが出てきた。


顔立ちはやはり、戸部山くんにそっくりだ。


「すいません、お邪魔します。」


玄関で靴を脱ぎ、靴を揃える。

「あ、あの。」


「うん?」


「もしよければ、これ。」

振り替える戸部山くんのお母さんにスーパーの袋を差し出す。


中にはお菓子の詰め合わせとフルーツの詰め合わせとフルーツゼリーとスポーツドリンク。


「すいません。帰りに買ってきたもので…」


「こんなにたくさん!!いいのよ、気にしないで。じゃあ、フルーツ切って持っていくから部屋に上がってなさい。」


戸部山くんのお母さんはニコリと嬉しそうに微笑んでキッチンへ消えていった。


私は階段を上り、すぐ近くの部屋のドアをノックする。


「高野瀬です。」


「え!?あ、どうぞ」


驚いた声のあと、すぐに落ち着いた声が聞こえて私は笑ってしまった。


私がくるなんて想像してなかったんだろう。