「あ、もしもし?親父?」

相手はお父さんだったのか、親しげに話しながら私たちから少し離れたところに戸部山くんは移動した。

「戸部山くんの家、お医者さんなんだよ」

「え!?…すごい。」

だから、あんなに私の傷、見てたんだ。
親がお医者さんなら、背中を見て育ってきたのかもしれないし。

少し離れたところで、戸部山くんはパタンと携帯をしめてこっちに向かってきた。

「…俺の親、医者だから、ついてきて。親父の病院でみてもらおう」

「…で、でも、私、お金…」

「いーよ。知り合いは無料。」

そういって少し笑った戸部山くんに少し胸が高鳴った。
戸部山くんは先を歩き始め、私はそれに付いていく。

「日和ちゃん、ごめんなさい!」

「んーん、頑張って!」

「え!?」


「ウッソ!お互い、恋愛仲間として頑張ろうね!」

「日和ちゃん!!」

大声で叫んだ日和ちゃんを見て顔を赤くしながらも、目の前にいる戸部山くんの背中を見て私は再び胸が高鳴った。