「まさか!」

「よかった…。…あっ!もしかして戸部山く」

「あー!!そんな大きい声で…」

「ハハハッ。可愛い。希凛ちゃん。あ、ちょっと染みるかもしれない。痛かったら言ってね」

日和ちゃんは私の頬に消毒液をつけると、絆創膏を貼り直した。
…可愛いって、それは日和ちゃんなのに。

そう思いながらも日和ちゃんが戸部山くんを好きじゃなかったことに少しホッとしている私。

優くんが、好きなんだ。
…あの時顔が真っ赤だったのは、照れていたというより怒ってたのかな。

自分は優くんが好きなのに気づいてもらえなくて。


「宮野?…と高野瀬さん!?」

突然戸部山くんの声がして私はハッと顔を上げた。
そこにいたのは、息を切らした戸部山くん。

「大丈夫か?駅員さんが、さっき言ってて…。女子高校生2人が不良に絡まれたって…。それに高野瀬さん、その怪我…。」

「希凛ちゃん、私のこと、守ってくれたんだ…。」

日和ちゃんがそういうと、戸部山くんは私の前に立って私の頬に優しく触れた。
体が少しピクリと動く。

「あ、ごめん。何回、殴られた?これじゃ、2回は殴られただろ…。それに制服も汚れてるし…」

「あ、う、うん」

「骨折れてたりすることもあんだ。女が気安く喧嘩売りに行っていい相手じゃない。」

「ご、ごめんなさい」

「…とりま、病院に付いてきてくれる?レントゲン、とってみないと。」

戸部山くんはそう言いながら携帯をとりだし、どこかにかけ始めた。