「大丈夫!?ねぇ、何であんなこと…」

「…友達だし、ね」

「でも…こんな会ったばっかりで…」

「時間なんか関係ないよ。日和ちゃんは友達だから…」

荒く息をしながら呟くと、日和ちゃんは「もういいよ」といって私の背中をさすった。
顔や体にジンジンと痛みが伝わってくる。

唇にふれると、人差し指に血がついた。
…ひどい顔、してるんだろーな。

日和ちゃんに支えられながら、ベンチに腰掛けて咳き込む。
…痛い。

お腹を抑えて、日和ちゃんを見る。

「日和ちゃんってさ、好きな人、いるの?」

そう言ってすぐ後悔する。
そう言えば、日和ちゃんって戸部山くんのことが…。

「えっ…うん、いるよ」

少し戸惑ったように日和ちゃんは私の頬に絆創膏を付けながら笑った。
…これは、聞いたら応援しなくちゃいけないパターン。

覚悟、しないと。

「誰…?」

「可愛い顔してて…あーもういいや!矢杉くん!」

「へぇ…って、え!?」

予想と違う答えに素っ頓狂な声を上げる。
そのせいか、頬がジンジンと痛んだ。

「戸部山くんじゃないの!?」

「へ?あぁ、戸部山くんは友達に誘われて一緒に帰るうちに仲良くなっただけなんだ。私はずっと矢杉くん一筋。…も、もしかして希凛ちゃんも矢杉くんが!?」