学校を出て、駅へ全力疾走する。
もう、日和ちゃんがメールしてくれたの15分くらい前。
もう、帰っちゃったりするのかな。

ホームへかけ降りると、いつものベンチに男子数人と日和ちゃんが1人いた。
…知り合いなのかな。

少し不安になりながらも、ベンチに近づく。

「ちっちぇー」

「可愛いよなぁ」

「ほーら、顔上げて、宮野っさん」

「別に無理やりいってんじゃないんだからさぁ?」

…ナンパ、というものだろうか。
しまった。
もっと早めに行けばこんなことにはならなかったのに。
私はベンチに近づき男子を掻き分け、日和ちゃんの前に立った。

「っ希凛ちゃんっ…」

「…ごめん、待たせちゃって。…貴方がたは誰ですか。」

日和ちゃんに笑顔を見せてから男子たちに向き直る。
…最悪。
この人たち、不良ばっかり。

「おー、ノッポな美人ちゃん登場ー」

「え、何、君、何者?」

そう言ってニヤニヤ笑う不良男子。

「答えになってませんが。私は貴方がたは誰かと聞いたはずです」

「あぁ?」

「自分の名を名乗れない人がこんなところで道草食ってていいんです…」

言いかけて頬に激しい痛みが走った。