「なるほど。結局矢杉とは何もなかったのかぁ…。つまんないの」

私の恋の発覚から1日経った今日。
彩にそのことを話そうとするも、彩のおしゃべりな口を止められず言うタイミングが掴めない。

…少し、黙ってくれないかな。

「…あ、あのさ、彩」

「んー?」

「実はさ」

「うん」

「私好きな人でき」

「あーやー!あんた昨日委員会サボったでしょ!こっちきなさい!」

やっとしゃべれるかと思いきや、勢いよく開いた教室のドアの音と、彩を呼ぶ図書委員会の委員、山西茜に私の声はかき消された。

「げっ。茜…。」

「げっ…じゃありません!あんた2日目!」

「いーじゃん。サボリの1日や2日くらい」

「よくない!ほら、さっさと来て」


彩は私に軽く頭を下げると、山西さんに連行されていった。
…サボったんだ、彩。

1人ため息をついて自分の席につく。
横目でチラリ、優くんを見るとバッチリ目が合った。

「あ、はよ」

「おはよ。昨日はありがと」

「こっちこそ。そーいや、宮野さんとメールしてみた?つかメールくれよな。俺にもメールしろって言ったろ」