今作品はいかがだったでしょうか。
私はイマイチまだ終わってない感が…。
私の書く作品は…
"夢"をテーマにしてることが多いです。
こうなりたい、とか。
こう言うものに憧れる、とか。
"現実"は辛いものが多いけれど、
それでも人々は、"夢"を持って
その"夢"を道しるべに歩んでいく。
この作品では、
道の表現が多かったですが、
自分で自分の道を照らすことが
出来る人って本当に凄いですよね。
私もそうなれたら良いなぁ…なんて。
ここまで読んで下さって、
本当にありがとうございました。
トロトロと遅い更新、
本当に申し訳無かったです。
でも、読者の皆様が居てくれたお陰で
完結を迎えることが出来ました!
本当にありがとうございました!!
あ、すみません…あとがき長いですね。
えっと、本編では書けなかった
葉月と奏乃の初めて出会った時、
(↑奏乃は覚えて無いですが)
優杏と碧眞の関係、
その他書きたいエピソードなど、
もろもろを番外編で書きます!
いつになるかは分かりませんが…
どうかそちらも
よろしくお願いいたします。
では、ここまで読んで頂き、
本当にありがとうございました。
読んで下さった皆様に
また会えることを願って…。
2013.04.01.宮野 亜咲
「ねぇ、葉月君。」
「ん?」
今日は天気が良い。と言うわけで
カナと駅前のカフェに来ていた。
もう常連になってる気がする。
「あのね、教えて欲しいことがあるの。」
大きな目を瞬きさせて、
カナは俺にそう言ってきた。
…なんか、また可愛くなった気がする。
高3になったカナは、まだまだ鈍感で
俺を日々不安にさせる。
「何?」
素っ気なく俺は答える。
「前さぁ、葉月君、
前の歌ってる時の私を
見たことあるって言ったでしょ?」
「………言ったな。」
「それ、いつなのかなぁって。」
カナが大人っぽい印象を持たれるのは
表情表現が少し控えめだからだろうか。
きょとん、とした表情はよく見るが
驚いた表情や、
怒った表情はあまり見ない。
まぁ、その分笑ったときが凄く綺麗だ。
「あー、それ。聞きたい?」
「うん、聞きたい。」
嬉しそうにテーブルに肘をつくカナ。
そんな表情をされると、
教えざるを得ない。
俺としては
あんまり話したいとは思わないが。
「俺がカナを見たのは…。」
中学2年。
この頃の俺は蒼空と一緒に
ひたすらサッカーをしてた。
「葉月ー!部活行こうぜ!」
「おー。」
俺も蒼空もあまり背は高くなくて、
170ちょい位しか無かった。
「葉月!そっちいったぞ!!」
「分かってるっ。」
サッカーして、サッカーして、
サッカーして。
今思えばかなりのサッカー馬鹿だった。
蒼空もだけどな。
ある日の放課後。
「葉月ー。今日グラウンド使えないから
部活休みだってー。」
「おー、分かった。」
「一緒帰ろうぜー。どっかに寄ってさ。」
「良いけど…。」
珍しく部活が無い俺達は、
気の赴くままに
近くのCDショップに入っていた。
中に入ると
同い年位の女子が騒いでいた。
「あ、ここに有った!Divaのアルバム!!」
「ホントだー!私も欲しい欲しい!!」
「ケイの歌声、めっちゃ綺麗だよねー。」
「あたしライブに行ったんだけどね!
生声もめっちゃ綺麗だったよ!」
「生声聴きたいぃーー!
でもさぁ、エルも凄いよね!」
「うんうんっ!ハモり完璧だよね!」
「「Diva最高ーー!」」
どんだけ騒いでんだよ。
「すげーな、Diva。」
ふと、俺の前で言った。
「蒼空、知ってんのか?」
「え?まぁ、有名だからな。
女2人の歌手グループだよ。
デビューシングルから今発売してる
CDまで全部バカ売れらしいぞ。」
「へー…。」
デビューシングルから全部…。
凄いな。何歳なんだ?
「しかも殆んどが謎なんだってよ。
"ケイ"と"エル"って名前と、
後2人が女ってことしか
世間に公表してないらしいぞ。」
「…へぇ。」
「そう言えば葉月も、
歌めっちゃ上手いよな。
お前も歌手とかやってみたら?」
「はぁ?無理に決まってんだろ。
しかもサッカー出来ねぇし。
無理無理。」
「あ、確かに。」
サッカーで納得すんのかよ…。
俺はさっき
女子達が騒いでいた棚に行く。
そして、
山積みのCDから1枚を手に取った。
「ん?葉月買うのか?」
「んー…聴いてみてから決める。」
棚に置かれている
大きなヘッドホンを付ける。
「あ、俺はあっちのCD見てるから。」
「ん。分かった。」
俺はスイッチを押した。
前奏が流れてくる。
第1印象は、爽やかな音楽だった。
『――。』
「……っ……。」
前奏の後、
流れる歌声に俺は息を呑んだ。
透き通る様な、甘い歌声。
その歌声は真っ直ぐで堂々としていて。
"歌唱力"とはこう言うモノなのかと、
初めて自分の身体で感じた気がした。
『――……。』
歌声は止まり、楽器の音だけになった。
サンプルだから、
1曲しか入ってないらしい。
「………。」
俺は無言でヘッドホンを外した。
聴きたい。他の曲も。
俺は手に取ったCDを見つめた。
「……………金持ってたっけ。」
今日は財布持ってきたはず。
鞄の中に
財布が入っているのを確認すると、
俺はそのCDを手に持ったまま
レジに向かった。
「いらっしゃいませ。
お預かり致します。」
結果、気付いたら購入していた。
「何だ葉月、買ったのか?」
後ろから蒼空が聞いてきた。
「…………まぁな。」
「珍しいな。………あ、そうそう。
俺これからスーパーに
買い物行くんだけど葉月も来る?」
スーパー…?
「行かね。用無いしな。」
「そうか。じゃ、また明日な!」
蒼空は颯爽とCDショップを出ていった。
………俺も帰るか。
ふらふらと帰路を歩く。
CDなんて買ったの初めてかも。
いつもレンタルショップで
借りてるだけだし。
夕日が空を茜色に色付けている。
もう日が暮れそうだな。
そんなことを考えながら
俺は通学路である
小さな公園の前を通った。
「――…。」
「………?」
思わず足を止めた。
気のせいだろうか。さっき聴いたような
滑らかな音が聴こえた気がした。
「―――…。」
「………!」
やっぱり、聴こえる。
俺はその小さな公園に入った。
《キィ…》
「―――…。」
ブランコの金属同士が擦れあう音が、
たまにその甘い美声に
混じって聴こえた。
……ブランコ?
俺はブランコの方を見た。
「…。」
ブランコには、女の子が座っていた。