Diva~見失った瞬間から~


始まりは、深夜の散歩。


居心地の悪さに耐えられなくなって、

外の風を浴びようとした時。

風と共に流れてきた美しい歌声。

全てを忘れて、聴き入ってしまう歌声。


私はその声に導かれてここに居る。


8月の月が、私を照らしてくれる。

8月の月はね、葉月君のこと。

だって8月は…葉月とも言うでしょう?


ありがとう。

私を照らして導いてくれて。


ありがとう。

私を受け入れてくれて。


ありがとう。

私の歌を取り戻してくれて。


ありがとう。

もう1度…夢に向かって歩みたいって、

そう思わせてくれて。


ありがとう。ありがとう。


「じゃあ、

ボーカルは、"ソウ"で決まりだ。」

甘い声は、私を魅了する。


8月のお月様は、

甘い甘い歌声の持ち主。





「テンー!」


「セイー!」


「シンー!」


「コウー!」


「ソウー!」

輝く舞台の上には、

きらびやかなオーラを放つ5人の男女。


「皆。今日も、 Canzoneのライブに

来てくれてありがとう。」

眩しいスポットライトは、

慣れてしまうとそうでもなく、

寧ろ心地良い。


「今日は、楽しんで行こう!」


「「「「「イェーーーー!!!!」」」」」


「相変わらず、ソウのファン多いな。」


「へへへ、良いでしょ?」




―――ねぇカナ。今、幸せ?


私の幸せを願ってくれた彼女は

私の側にはもう居ないけど

私はもう、逃げない。


「聴いてください。"Ora, io sono felice."」

歓声に包まれる会場。


「ソウ、行けー!」

支えてくれる仲間。


"Ora, io sono felice."


『今、私は幸せです。』





ついに、完結致しました。

この作品は非常に長かったですね。


400ページを超えるとは…

200ページくらいで

終わると思ってました。


長編って、大変ですね。

初期設定との矛盾がどんどん生まれて…

何度も何度も書き直しました。


書き直す作業も結構好きですけどね。





この作品のヒロイン…

まぁ奏乃のことですが

随分とまぁ、重い設定に…(汗)。


葉月は、

色んな意味でヒーローでしたね。

初めは何だか無愛想なキャラでしたが、

最後の方になると笑う回数が増えて。


個人的に睦月が好きなのですが、睦月は

ごく僅かしか出られませんでした(泣)。




今作品はいかがだったでしょうか。

私はイマイチまだ終わってない感が…。


私の書く作品は…

"夢"をテーマにしてることが多いです。


こうなりたい、とか。

こう言うものに憧れる、とか。


"現実"は辛いものが多いけれど、

それでも人々は、"夢"を持って

その"夢"を道しるべに歩んでいく。


この作品では、

道の表現が多かったですが、

自分で自分の道を照らすことが

出来る人って本当に凄いですよね。


私もそうなれたら良いなぁ…なんて。




ここまで読んで下さって、

本当にありがとうございました。


トロトロと遅い更新、

本当に申し訳無かったです。


でも、読者の皆様が居てくれたお陰で

完結を迎えることが出来ました!

本当にありがとうございました!!





あ、すみません…あとがき長いですね。


えっと、本編では書けなかった

葉月と奏乃の初めて出会った時、
(↑奏乃は覚えて無いですが)

優杏と碧眞の関係、

その他書きたいエピソードなど、

もろもろを番外編で書きます!


いつになるかは分かりませんが…

どうかそちらも

よろしくお願いいたします。


では、ここまで読んで頂き、

本当にありがとうございました。


読んで下さった皆様に

また会えることを願って…。



        2013.04.01.宮野 亜咲




「ねぇ、葉月君。」


「ん?」

今日は天気が良い。と言うわけで

カナと駅前のカフェに来ていた。

もう常連になってる気がする。


「あのね、教えて欲しいことがあるの。」

大きな目を瞬きさせて、

カナは俺にそう言ってきた。


…なんか、また可愛くなった気がする。

高3になったカナは、まだまだ鈍感で

俺を日々不安にさせる。


「何?」

素っ気なく俺は答える。


「前さぁ、葉月君、

前の歌ってる時の私を

見たことあるって言ったでしょ?」


「………言ったな。」


「それ、いつなのかなぁって。」

カナが大人っぽい印象を持たれるのは

表情表現が少し控えめだからだろうか。


きょとん、とした表情はよく見るが

驚いた表情や、

怒った表情はあまり見ない。


まぁ、その分笑ったときが凄く綺麗だ。


「あー、それ。聞きたい?」


「うん、聞きたい。」

嬉しそうにテーブルに肘をつくカナ。

そんな表情をされると、

教えざるを得ない。


俺としては

あんまり話したいとは思わないが。


「俺がカナを見たのは…。」