《まもなく、次の電車が参ります。》
ザワザワ話し声が飛び交う駅のホーム。
「ねぇ、聞いた?Canzoneの新曲!」
「聞いた聞いた!!ヤバかった!」
「うんうんっ!
今度さ、カラオケ行って歌おうよ!!」
「絶対行くー!歌いたい!」
「………。」
私の後ろでキャピキャピと
盛り上がっている女子高生2人。
……煩いなぁ。朝っぱらからさ。
《ゴォォォォォ…》
待ってる間に電車が着いた。
私は電車に乗る。
私が乗る電車は空いている。
だから適当な所に座って学校の
最寄りの駅まで移動する。
ふと、隣から微かに音楽が聞こえる。
チラッと横を見てみると、イヤホンで
音楽を聞いている男子高生がいた。
………音量もっと下げてよ。
音こっちまで漏れてるっつーの。
電車内を軽く見渡しても、
音楽を聴いている人は結構いる。
目の前には、さっき私の後ろに居た
女子高生2人が座って、
まだ同じような話をしている。
今日も、同じだ。
この世界の人は、音楽を必要としてる。