「どうしたの?」
私の目の前で優しく微笑む女性。
うっうわ〜超、美女。
腰の辺りまである明るい茶髪。
ストレートでとても綺麗。
正直とてもうらやましい。
顔も死ぬほど整っていて、もう神がかった美しさ。
20代前半くらいだろうか。
「どこにも行くところがないなら私のところに来ない?」
「へ?」
私のところに来ないって....
普段なら怪しむ台詞なのだが(だって、知らない人に付いて行っちゃいけないって言うじゃん。)でもこの人が余りにも綺麗で全くそんなことを思わない。
「私の家の家政婦をしてくれるなら全てを負担するわ。」
「........。」
「私のところに来たいなら付いておいで。」
そう言うと綺麗な女性は私に背を向けて歩き出した。
綺麗な女性の一歩後ろをついて行く私。
どこにも行くところないし、てか、帰る家さえないので綺麗な女性について行くことにしました☆
彼女の名前は牧 吉香(マキ ヨシカ)。
私を拾ってくれました。
『ねぇ?家政婦になってくれない?』
この条件を飲んだことによって学費も食費も何もかも負担してくれると言う吉香さん。
家政婦やるだけでこんなにしてもらえるなんて超ラッキー☆
家事全般得意だしさ!!
任せてよ!!
「私の家に住む子たちはみんな色々抱えていてね。だから、大変だと思うけどよろしくね、美紀ちゃん?」
「はい!!吉香さん!!こちらこそよろしくお願いします!!」
私たちの前に広がる結構大きめの一軒家。
ここが今日から私の家。
はぁー、よかった。
お家が見つかった!!
私はまだ知らない。
今日から始まる悪夢な日々を。
「うふふ。うはははははっ!!」
何よ!!?
この家!!?
外の美しい外観からは全く想像もつかない散らかり具合。
どーしてこうなるか全然わかんない。
ここ吉香ホームだよね?
吉香さんは超綺麗だからお家も超綺麗だと思ってたんだけど。
めっちゃ、汚い。
もう、ぐちゃぐちゃだ。
「家政婦魂ぃぃぃぃ!!」
こんな汚いお家をお掃除とかがぜん気合いが入る。
綺麗にしてやるわ!!
吉香さんたちが帰ってくる前にぴっかぴかにしてやんよ!!
この家には私オンリー。
吉香さんはお仕事に行かれました。
そしてこのお家の住人は5人!!
一番綺麗でクールなのが雪ちゃん。
可愛くて小さいのが翔ちゃん。
明るくて元気なのが裕ちゃん。
自信家で二番目に綺麗なのが千尋ちゃん。
いつも怒っている感じなのが奏ちゃん。
みんな私と同じくらいの歳だって。
ちゃん付け出し、きっと吉香さんに似て可愛すぎる女の子たちなんだろうなぁ。
忙しく動いていた手が止まる。
あの超汚いお家は数時間ハッスルした私のおかげて素晴らしく綺麗になりました。
「ふぅー。終わった、終わったぁ〜。」
体をゆっくり伸ばしてゴミ袋に手をかける。
これを片付けておしまい☆
ガチャッ
玄関が開いた音が聞こえる。
つまり.....
「お帰りなさ〜い!!」
吉香さんたちが帰って来たんだ!!
大きな声を出して玄関の方へ向かう。
あぁ、楽しみだなぁ!!
娘さんたちはきっと美少女なんだろうなぁ!!
だがしかしそこにいたのは....
「.....?」
美少女一人と美少年四人?
目がクリクリの女の子はまーわかる。
でもさ、あとの男たちは誰よ。
まさか娘さんのストーカー?
「スッストーカー!!?」
「「は?」」
叫ぶ私を不思議そうに....いや、不審そうに見つめる美少女&美少年軍団。
私はそんな視線なんか気にせずに美少女の元まで行って....
「大丈夫ですか!!?もう大丈夫ですよ!!怖かったですよね!!?」
と言って美少女の腕を掴んでぐいぐい引っ張る。
「不法侵入者!!警察に通報するわよ!!?」
そして最後に男共に一言。
ビシッと彼らを指差す私。
「あのさ、離して欲しいんだけど。」
キラッキラの笑顔でそう言う娘さん。
.....声予想以上に低!!
もっと透き通った声だと思ってた!!
「むっ娘さん?風邪ですか?」
私は娘さんの背中をさすってあげる。
娘さんの体よ〜。
暖かくなれ〜。
暖かくなれ〜。
そんな私に....
「確かに僕は可愛いけど女じゃないよ?不法侵入者さん?」
ハジッ
「痛っ!!?」
え!!?
この子女の子じゃないの!!?
すっごい可愛いのに!!?
てか、すごい勢いで腕叩かれたんですけど!!?
つまりコイツら全員男だから....
「不法侵入者ぁぁぁぁぁ!!」
「は?ここ俺らの家なんだけど?」
明るい茶色の髪。
綺麗な顔立ち。
そんなボーイ一人が呟いた。
そして各々、
「不法侵入者って、君の方だから。」
私が女の子と間違えた美少年。
大きな瞳で、栗色のサラサラヘアー。
「うるせぇ。」
艶やかな黒髪で切れ長の目。
すっごく不機嫌そう。
「あっあのよぉ!!お前、家間違えたんじゃねぇの!!?」
私の肩を持ってユサユサ。
オレンジに近い茶色の髪。
八重歯が気になる。
てな感じ。
そして最後に....
「家政婦さん?」
艶やかな黒髪。
作り物並みに整った顔。
な、彼がそう言った。
「そうですけど。」
私はとりあえず私の肩を持って私を揺さぶる八重歯くんの手を掴みながら言う。
揺さぶられ過ぎて正直気持ち悪い。
「やっぱり。僕の名前は雪斗。よろしくね。え〜と....?」
「美紀です。」
「あぁ、美紀ちゃん。」
.....あれ?
なんかおかしくない?
えっと、我が家の娘さんは五人。
翔ちゃん、千尋ちゃん、奏ちゃん、裕ちゃん、雪ちゃん.....。
ん?
んん?
んんん?
「雪ちゃん?」
「.....そうだけど?」
「っ!!?」
あぁ!!わかった!!
わかったよ!!
「おいおい。ちょっと、待てよ。ちゃんと説明しろよ。雪斗。」
八重歯くんが不思議そうにそう呟く。
その他のメンバーも不思議そうに雪ちゃんこと雪斗くんを見つめる。
「え?吉香さんから聞いてないの?今日から新しい家政婦さんが来るって。」
雪斗くんもまた不思議そうに呟く。
「「聞いてないし(ねーし)。」」
わお。
雪斗くん以外の他のメンバーの見事なハモリ。
「という訳だからみんな自己紹介。」
「......。」
みんな納得いかなさそうな顔をしているが各々、自己紹介を始める。
「」
「俺の名前は祐希。いろいろとよろしくな。」
にっこり八重歯が見えてますのが裕ちゃんこと祐希くん。
うん。
人懐っこい笑顔だね。
「俺は千尋。家政婦だからって絶対俺に関与してくんな。」
明るい茶色の髪の奴が千尋ちゃんこと千尋くん。
かなりうざい。
「奏。俺の部屋に入ってきたら殺す。」
不機嫌そうなのが奏ちゃんこと奏くん。
冗談に聞こえない。
本気で殺されそう。
「僕の名前は翔太。あのね?前の家政婦さんなんか知らないけどノイローゼ起こしてやめちゃったんだよ?」
最後に自己紹介してきたのが翔ちゃんこと翔太くん。
楽しそうににこにこ。
が、目が笑っていない。
ノッノイローゼ!!?
たっ確かに濃そうコイツら....。
あぁ、なんてことだろう。
私はこんなっ!!