アイドルたちの裏の顔!!?



「ねぇ、美紀の学費ってなんで私が払ってるの?」


お母さんがいたのは私の部屋。

私の部屋からお母さんが出てきた。


「その金を薬にまわしたいな。」


お母さんが持ってるのは包丁。


「薬がないとあの人に会えない!!会えない会えない会えない!!」


今度は泣き出すお母さん。


あの目。

虚ろなあの目。


殺気を感じた。


殺される。


「やっ、来ないで...っ。」


上手く喋れない。

足が動かない。









「要らない。だから壊すの。」


明かりがついていない暗い部屋。

お腹に感じる激しい痛み。


真っ赤。

真っ赤。


床もお腹もお母さんも。


何ヵ所刺されたかわからない。

意識が途切れてく....。


痛みと一緒に。





私はそれでも生きていた。


病室のベッドで横たわる私の横にいるのは刑事さん。


「お母さんは覚醒剤乱用と殺人未遂で逮捕されたよ。もう安心だからね。それで色々と詳しいことを聞きたいのだけれど.....。」


「.....。」


私は精神が完全に崩壊してしまって喋れなくなっていた。


それからフラッシュバックと言葉の闘いが続いた。

そして退院出来たのは半年後だった。





「全てを失った私を拾ってくれたのは吉佳さんだった。」


震える私の声。


「みんな私と一緒だと思ってたのにみんな愛されていた。私と違っていた。寂しかった。みんなの幸せを素直に喜べなかった。」


みんな私を心配そうに見てる。


こんなことを思っている私でもそんな目で見てくれる。

こんな私でも....


「嫌いになった?嫌なヤツでしょ?私。」


「嫌いになんてならない。」


雪斗くんが優しく私を抱き締めてくれる。


暖かい。

こんな暖かさ初めて。


「美紀には俺たちがいる。一人じゃねー。」


「お前が俺たちのところに来てくれてよかった。」


「俺たちは家族だ。血の繋がりなんか関係ねー。」


「もう、一生離さないよ。美紀。」


祐希くん、奏くん、千尋くん、翔太くんの順に私に声をかけてくれる。


愛を初めて感じた。


辛かった。

惨めだった。


お母さんは私を愛してくれなかった。


でも、みんながお母さんの分まで、いや、それ以上に私を愛してくれる。


もう一人じゃない。



私に大切な家族が出来た。

愛おしい最愛の家族が。

















「頑張れ!!みんな!!」


私は今日も心から笑ってる。

今日から全国ツアーが始まった。


「美紀!!いっちょ派手にやってくる!!」


祐希くんはガッツポーズを私に向けて眩しい笑顔で笑ってる。

そして、そのまま私のオデコにキス。


「え!!?ええ!!?」


びっくりしすぎて声が裏がける。

顔を真っ赤にしてオデコを押さえる私。


祐希くんも真っ赤だけど。


「好きだ!!行ってくる!!」


そのままの勢いで走りさる祐希くん。


こっ告白なのかな?

好きって叫んでたし.....?


そう思うと顔が熱く.....。







「急に言われても意味わかんないよね。」


雪斗くんがクスクス笑いながら私に近づく。


本当、その通り。

全然意味がわかんない。


「っ。」


チュッ


不意打ちだった。


顔近いな〜とか思ってたらやられた。

右頬にチュー。


なっ、なっ.....


「何なのさ!!」


「美紀に告白する前には必ずキスすることってなってるんだ。」


「え!!?」


そんなことしらない!!

何よそれ!!


パニック起こしてる私なんて無視して雪斗くんはお綺麗な顔で微笑み、


「好きだよ。じゃあ、行くね。」


と言って行ってしまった。


こっ告白された!!

ガチだ!!

これはガチなんだ!!


雪斗くんも祐希くんもガチだ!!













「タコみて〜。ブサイクな顔がさらにブサイクに〜。」


「うっさい!!口悪男!!今、乙女はパニック起こしてるの!!」


「乙女?どこにいんの?そんなヤツ?」


「ここだ!!お前の目は節穴か!!」


ど失礼な千尋くんのせいでドキドキが収まってしまった私。

むしろ怒りが込み上げて....


「節穴じゃねーよ。」


チュッ


「...なっ!!?」


今度は千尋くんに左頬を奪われた。

チューされた。


まままままたですか!!


またまた顔が赤くなる私。


「もう、みんなに言われてんだろ?俺も、好きだ。じゃ。」


千尋くんは真剣な瞳でそう言って行ってしまった。


なっなんと千尋くんからも告白された。






「美紀.....」


「キスそーし!!」


私の側にやって来た奏くんの口を押さえる私。


「.....。」


ボソッ


不機嫌そうな、いや、不機嫌な彼は私に呟いた。


『離せ。』と。


こっ怖いよ!!

目が怖いって!!


私は急いで奏くんの口から手を離す。


で、


チュッ


「お前が塞ぐからキス出来なかったんだよ。」


と一言。


彼はまぶたにキスをしてきました☆


お、おう。

もう心臓がヤバい。

生きてますか?私。


「好きだ。俺のものになれ。」


そう言って奏くんも行ってしまった。


あ、あの奏くんにも告白されちゃった。









「美紀ぃ!!」


「しょっ翔太くん!!」


最後にやって来たのは翔太くん。

このプリティボーイも私にチューするのだろうか?


翔太くんのことを警戒していると、


「僕はキスなんてしないから安心して?」


と言ってくれた。


乙女の味方だ!!


と一瞬だけ思った。


チュッ


「な〜んてね?」


翔太くんはマイリップにキスしていた。


お、おう。


「ふぁーすと.....。」


「本当!!やったぁ〜!!うれし.....」


「口にすんなって言ったのはお前だろ!!」


ニコニコ笑う翔太くんとは裏腹に全く笑わずに叫ぶ千尋くん。


その後ろから奏くんと祐希くん雪斗くんも出てくる。


「僕はいーの。」


「あぁ、僕も口にしとけばよかった〜。」


可愛く笑う翔太くんに本当に残念そうに私を見てる雪斗くん。


あぁ、もうなんなのコイツら!!


「はい、みんなどっか行ってぇ。僕の告白終わってないから。告白は邪魔ないって約束じゃん?」


翔太くんは可愛らしく笑ってみんなをうっとうしそうに追い払う。


そして翔太くんと私だけになる。