アイドルたちの裏の顔!!?




「そうですけど。」


私はとりあえず私の肩を持って私を揺さぶる八重歯くんの手を掴みながら言う。


揺さぶられ過ぎて正直気持ち悪い。


「やっぱり。僕の名前は雪斗。よろしくね。え〜と....?」


「美紀です。」


「あぁ、美紀ちゃん。」



.....あれ?

なんかおかしくない?


えっと、我が家の娘さんは五人。


翔ちゃん、千尋ちゃん、奏ちゃん、裕ちゃん、雪ちゃん.....。


ん?

んん?

んんん?


「雪ちゃん?」


「.....そうだけど?」


「っ!!?」



あぁ!!わかった!!

わかったよ!!


「おいおい。ちょっと、待てよ。ちゃんと説明しろよ。雪斗。」


八重歯くんが不思議そうにそう呟く。

その他のメンバーも不思議そうに雪ちゃんこと雪斗くんを見つめる。


「え?吉香さんから聞いてないの?今日から新しい家政婦さんが来るって。」


雪斗くんもまた不思議そうに呟く。


「「聞いてないし(ねーし)。」」


わお。

雪斗くん以外の他のメンバーの見事なハモリ。


「という訳だからみんな自己紹介。」


「......。」


みんな納得いかなさそうな顔をしているが各々、自己紹介を始める。








「」



「俺の名前は祐希。いろいろとよろしくな。」


にっこり八重歯が見えてますのが裕ちゃんこと祐希くん。


うん。

人懐っこい笑顔だね。


「俺は千尋。家政婦だからって絶対俺に関与してくんな。」


明るい茶色の髪の奴が千尋ちゃんこと千尋くん。


かなりうざい。


「奏。俺の部屋に入ってきたら殺す。」


不機嫌そうなのが奏ちゃんこと奏くん。


冗談に聞こえない。

本気で殺されそう。


「僕の名前は翔太。あのね?前の家政婦さんなんか知らないけどノイローゼ起こしてやめちゃったんだよ?」


最後に自己紹介してきたのが翔ちゃんこと翔太くん。


楽しそうににこにこ。

が、目が笑っていない。


ノッノイローゼ!!?


たっ確かに濃そうコイツら....。



あぁ、なんてことだろう。

私はこんなっ!!

























こんな奴らの家政婦をするのかぁ〜!!
















「予定表?」


「そ、俺らそれぞれ予定が違うから。」


自己紹介後、私と八重歯が眩しいイケメン、祐希くん以外はみんなどこかに行ってしまった。


で、渡されたのがコレ。


予定表。


予定表を眺めて思う。


「これ無茶苦茶じゃない?」


明日の朝は翔太くんが4時半に家を出る。

で、後はみんな8時に家を出る。


次の日が千尋くんで、その次が祐希くんで、次の日が.....



ずっと誰かが4時半に家を出る。

つまりものすごく朝早く起きなくてはならない。



「あのさ、祐希くん。こんなに朝早く出ていったい何するの?」


「は?」



私の疑問を聞いて首をかしげる祐希くん。


で、少し間を開けて、



「もしかして俺らのこと知らねぇの?」


そりゃ〜


「初対面ですし、ねぇ?」


知ってる方がおかしいって。












「やっぱりな。リアクション薄いと思った。」


祐希くんは納得したようにそう言ってリビングをうろうろ。


何してるんだろう。


『おっ、あった。』と言っている祐希くんが手にしているのはリモートコントローラーことリモコンさん。


なぜリモコンを持っているのだろう?


不思議に思って首をかしげて祐希くんを見ていると....


「この時間なら多分出てると思う。」


と言ってテレビの電源を入れる。


『続いては今、人気沸騰中アイドル、ZEROの新曲でハルウタです。どうぞ!!』


そこには綺麗な女子アナさん。


ほう。

人気音楽番組ですなぁ。


女子アナさんの台詞と共に画面が変わる。



『きゃ〜♡』


『ZEROぉぉぉ♡』


叫ぶ女子たちが見つめる先には....



『みんな〜!!元気ぃ?』


可愛らしく笑う、美少女ならぬ、美少年の翔太くん。


『俺らの新曲聞いてください!!』


こんな風にちゃんと笑えるのかと思う、うざ男、千尋くん。


『『ハルウタ!!』』


そう叫ぶ、祐希くん、奏くん、雪斗くん。


アイドルらしい楽しいテンポの曲が流れだし、楽しそうに踊り出すみんな。


フッ.....

フリーズ。


頭が10秒ほど、真っ白。

そして10秒後うまく回らない頭を使って考え出す。













何これ?

あの子らがキラッキラに笑ってる。

キレッキレなダンスを披露してる。

うたを歌ってる。


この小さな箱の中で。


「あっ、あの彼はいったい....。」


やっとの思いで絞りだした台詞。


頭の中が混乱中。

パニック起こしてますよ、ええ。


「俺ら。ここで暮らしてる奴ら。」


「そっ、そうだよね。」


別人のように見えるけどやはり同一人物だ。

キラッキラに笑ってるけど彼らは我が家の息子さんたちだ。


「まー簡単に説明すると吉香さんは芸能事務所の社長さんで俺らはそこのアイドル。俺もみんなも吉香さんに拾われたんだ。吉香さんの頼みなら断ることなんてできねぇ。つーわけだ。」



よくわかってない私に簡潔に説明してくれる祐希くん。


拾われたって、ちょっと待って?

じゃぁ、彼らは.....


「息子さんではない?」


「そーだな。」



『私の家に住む子たちはみんな色々抱えていてね。』


私の頭に流れるのは吉香さんの台詞。


そーいうことか。















みなさんも吉香さんに拾われた身。

色々って本当色々そう。


「わかった!!私、みんなの為に頑張るね!!」


私はこれでもかってくらい力いっぱい叫ぶ。


これは決意だ。

捨てられた気持ちは痛いほどよくわかる。

だから私が支えよう。


「おう!!ありがとな、美紀!!今日からよろしく!!」


私を見て嬉しそうに笑う祐希くん。

そんな祐希くんを見て私もなんだか嬉しくなる。


「うん!!よろしくね!!」




今日から始まるのは果たして悪夢な日々?


それとも.....?












朝の3時〜♪

今は朝の3時だよ〜♪


「ねっ眠い。」


ふらふらしながら台所に立つ私。


全てを失った私を拾ってくれた吉香さんは私に家をくれた。

条件付きで。


条件はどうやら人気沸騰中アイドルらしいわけあり美少年たちの家政婦さんになること。


祐希くんと雪斗くん以外はとりあえず関わりたくない。

だって怖いし、ウザイし。


しかし彼らはみなわけあり。

私もわけありだからそこは共感するところで....。


なんやなんやで彼らの為に頑張ろうと思っている訳ですよ、はい。


「よしよし。美味しいものを作りましょうか。」


そう言って私は冷蔵庫の中を物色し始めた。








朝の3時半。


トントントンッ


階段を降りる足音が聞こえる。


つまり....



「翔太くん!!おはよう!!」


降りてきた翔太くんに元気に挨拶。


が。



「.....。」


無視。


完全無視で私の横を通って行く翔太くん。


顔死んでた。

翔太くん朝弱いんだ。


あまり無視されたことを気にせず翔太くんの後ろをついて行く私。


「朝ご飯は机の上にあるからね?お弁当もあるよ?」


「.....。」


これも無視!!?

ちょっとこれはひどいよ!!


しかし我慢。


大人の余裕を見せるのよ?

美紀。


相手は中3。

まだまだガキんちょ。


ちなみに雪斗くんと祐希くんと千尋くんと奏くんが私と同い年。


祐希くん情報で知りました。


私はとりあえずソファーに腰かける。