見上げる小鞠の目に映ったその人は…
銀の光を散らして靡く長い髪。
美しい顔はそのままに、赤い炎を灯した瞳。
誇り高く天を指す二本の角。
身に纏うオーラは禍々しくも神々しく、もはや人間が有するものではない。
人であり得ぬ人外の者…
小鞠は声にならない悲鳴を上げ、その手を振り払おうと暴れた。
「手を離すでない。」
開かれた紅く妖艶な唇の隙間から、鋭い牙が覗く。
だがその声を耳にした小鞠は抵抗を止めた。
逆に自分から手を強く握り返し、もう片方の腕までも縋るように絡みつける。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…