うさぎは鬼神。
景時が連絡を入れる前におかしな鬼気を察知し、ここに辿り着いたのだろう。

着崩した赤い着物。
前で結った帯。
鮮やかな藤色の羽織。

闇の中にルビーの瞳を燃え上がらせ、銀髪を靡かせる久々に見るうさぎは、やはり神々しいまでに美しい鬼だ。


「あ…ありがとごじゃ…
!! 若っ!!」


うさぎが抱えていたのは、若い僧だったようだ。
若いと言ってもオニ狩りとしての年季がまだ浅いという意味で、景時よりは年上。

赤くなったり青くなったりと忙しく顔色を変えながら、なんとかうさぎにお礼を言おうとしていたその僧は、景時を見て安堵したように声をかけた。