「はい。春河・・・」
「緑涼か?」

電話の相手は凛香だ。
いつもの凛香らしくない、かなり慌てた様子をしている・・・。

「なした?そんな慌てて・・・」
「さっき話した薬!もう椿に渡したか?」
「さっき渡したけど。」
「飲ますな!」
「え?」

いきなり飲ますなと言われ、緑涼の頭は大混乱。さらに畳み掛けるように凛香は話す。


「さっきの薬、回収命令が出たんだ。一部の人間に幻覚作用や昏睡状態を招く例が出始めてるらしい。すぐに椿から取り上げてくれ!」

「わ。わかった!」


緑涼は電話を切ると、全速力で椿の部屋に向かう。2階まで駆け上がった時、椿の部屋から出ようとした火燐を見かけた。