「やっぱり・・・」


桜の花で満開になった枝に座り、花の隙間からその光景を見ていた正嗣と美佐子。火燐の清々しい顔を見つめながら、正嗣はそうつぶやく。その眼は、子供の成長に感動する親のようであった。


「私たちは・・・もう止まっちゃてるけど・・・火燐さんにしたって、椿にしたって大人になっていくんだね。」


美佐子のこの言葉に正嗣はこう返す。


「木と一緒だな。」


美佐子は不思議な顔をしながら「木?」と聞き返す。


「そう、木。木は、土から養分を取って、雨や湧き水を吸収して、太陽の日差しで光合成をすることで成長する。子ども達も、食べることで力をつけて、社会の情報や知識を取りえれて自分のものにして、お日様の元で元気に暮らす。それで成長していくだ・・・」


と成長についての持論を語った。