「楽しそうね。」
「そうだな。」
その様子を陰ながら見ていた正嗣と美紗子。実は毎年、椿達にばれない様にコッソリその様子を見学していた。自分達も花見を楽しみながら…
「おっ、今年のお重はおいしそうだね(笑)」
「本当。この卵焼き、きっと椿が作ったものね(笑)」
墓前に置かれた小さなお重。正嗣と美佐子用に、子供たちが作ったお花見弁当だった。彼らはそれを手に取ると、椿達に気づかれないように後ろをついていく。
「今日は、いい天気だべ(笑)」
「本当だな。」
火燐と風燕がお重を抱えながらそんな話をしている。その横では、蓮流と禮漸が酒やジュースの入った袋を抱え、先頭では、緑涼と椿がお皿やコップ、シートなどを持って歩いていた。