「離して!」
「そんな括弧でココに来たってことは、その命もういらないんでしょ?だったら俺にくれよ!その命。」
その言葉に恐怖を感じた椿は、必死に男の腕を振り切って全速力で山道を下る。しかし・・・
「捕まえた!」
後ろから男に抱きつかれてしまった。
タスケテ・・・
椿の心の中はその言葉でいっぱいだった・・・
その時、山の中を強い風が吹きぬける。
すぐ眼をつぶった椿。強い風に身体が浮き上がる感覚。風がやんだ瞬間、椿が眼を開けると・・・
「大丈夫だべか、椿ちゃん?」
火燐にお姫様抱っこされていた。椿は、火燐の顔を見ると涙が止まらなくなる。