禮漸は、怒りを必死で抑えながら棍棒を正嗣の胸元に当てた。
しかし、正嗣はその冷たい感覚にも動じず、禮漸に向かってこう言った・・・。


「舐めてないよ。ちょっと話がしたかっただけ(笑)」


「・・・ぶっ殺してやる(怒)」


堪忍袋の尾が切れてしまった。
禮漸は、正嗣の胸元からゆっくりと棍棒を引き離そうとしているそんな時だった・・・


「止めとけ、禮漸。」


大きな石の上で胡坐を掻きながら、胡瓜を丸かじりする緑涼がそう言い放つ。
緑涼の横で、紺の甚平姿の子鬼が大きな握り飯をパクパクと食べている。


「緑涼さん・・・。でも、こいつ俺達のこと舐めてますよ!へらへらして話しがしたいだの飯食おうだの!」


「兄貴・・・。」
「なした?空我。」


「俺も、禮漸の兄貴と一緒。聞いててムカつく。」


空我は、手についたご飯粒を舐めながら緑涼にそう訴える。