カサカサ・・・
「向こうだ!」
正嗣はその音がなる方向に走っていく。そして一度止まって再び確認。これを何回も繰り返した。すると、森のうっそうとした景色がぱっと開けた。
大きな石の上で、握り飯にがっつく修行僧のような格好をした鬼を発見。
「お前か。街にやってきた研究者とか言う奴は・・・。」
鬼は、正嗣を見るや否や、睨みつけながらそう言い放った。
「はい・・・。俺、春河正嗣っていいます。あなたが、この村に伝わっているお話の鬼さんです・・・よね?」
鬼は、握り飯を口に放り込むと、腰に刺していた大きな刀を抜き正嗣に向けた。
「んだ。おらの名前は緑涼。先にいっておくぞ、人間。」
そういうと、鬼はすばやい動きで正嗣の後ろに回りこむと、刀を正嗣の首元にあて・・・