「蓮流、大丈夫か?」


禮漸が、蓮流に付き添って様子を伺いながら、出来る限り外の声に触れさせないようにと必死に話しかけていた。
その前の席では、風燕が火燐の食べていたビスケットを横取りして大喧嘩勃発。緑涼が運転席から「そこまで!喧嘩すんな!」と怒鳴っていた。
椿は、そんなBGMを聞き流しながら外の風景を眺めていた。


「椿。」


緑涼が椿に声をかけると「前行った、古い本屋ってこのあたりだったよな?」と尋ねてきた。


「たしか・・・」


その時、あの店が椿の眼に入ってきた。椿はとっさに「緑涼さん、あそこ!」と伝える。緑涼もそれを確認すると、少し進んで車をUターンさせて店の前に止めた。


「風燕さん!」
「なした?」


機嫌悪そうに椿にそういうと椿は「前にお土産で買ってきた本のお店、ここなの!」と伝えた。すると、風燕の顔が180度変化。ニコニコしながら勝手に車を降りようとするが・・・。