「今日は、ホテルから出れそうにないね。」
「そうだな(笑)」


そんな“たわいもない話”をしながらホテルの門をくぐる。たくさんの人が空港と同じように行きかいするエントランスをつき切るように、彼らはエレベーターホールへと向う。エレベーターを待っている間、禮漸は椿に「正嗣や美佐子さんともこんな旅行した?」と聞いた。

「私が小さかった時に何度か。みんなで海に行ったり、ハイキングしたり・・・お父さんの職場に、お母さんと一緒に行ったりしたこともあるよ。」

「そっか。」

そんな話をしている時、エレベーターのドアが開いた。椿達はそれに乗り込んで部屋へと向った。