「もしかして、輪入道か?」
「覚えててくれてたんすね、旦那!」
「覚えてるよ!昔いっぱい助けてくれたじゃんか!」
「助けられたのは俺っすよ!」
子どもの頃、正嗣の傍で悪い人間達を蹴散らしてくれていたのが輪入道だった。
久しぶりに輪入道の低い声を聞いて、正嗣に笑顔が戻っていく。
「ちなみに、今は私の足になってもらってる(笑)」
「足やってます(笑)凛香の姉貴から、旦那のこと聞きました!しっかりしてくださいよ。もう一児の父親なんですから!」
「みんな・・・ありがとう・・・。」
「いいから、行くぞ!」
凛香は窓から右手を出すと、上にむいていた指の先をさっと前に倒す。すると、天狗達が持っていた扇を思いっきり振り込んだ。すさまじい風か正嗣達を包むと、その勢いで輪入道が前に飛び出していった・・・。